投資コラム/建替えと法緩和
マンション敷地売却制度
マンション敷地売却制度

耐震性が不足したマンションをそのままにしておくと、震災時の被害が拡大してしまいます。

そのため、それらのマンションを早急に建替える必要がありますが、まず、解体・除却するだけでも、被害を食い止めることはできます。

そこで、買受人が旧マンションを除却することを前提に、多数決でマンションの敷地を売却出来るという制度が生まれました。

マンション敷地売却制度

マンション敷地売却制度も、マンション建替型総合設計制度と同じく、平成26年のマンション建替え円滑化法改正の際に誕生した制度です。

これまでも、マンション敷地を売却することは出来ましたが、その場合は、民法の「共有物の変更(民法251条」により、全員の合意が必要でした。

これでは、よほど戸数の少ないマンションでない限り、合意形成が難しいです。

そのため、建築条件等の面で、物理的に建替えが困難なマンション等は、建替えも出来ず、解体することも出来ず、どうしようもありません。

そこで、マンション敷地売却制度によって、耐震性が不足していると認定されたマンションについては、「5分の4」の合意で敷地を売却できるようになりました。

要除却認定とは

敷地売却制度や、マンション建替型総合設計を使用するためには、耐震性が不足していることについて、特定行政庁から認定を受けなければなりません。

この認定のことを「要除却認定」といいます。

この認定を受けたマンションは、「要除却認定マンション」となり、敷地売却制度等を利用できるようになりますが、一方で、(途中でやめたりせず)マンションを除却するよう努めなければならなくなります。

認定を受けた場合、行政は管理組合に対し、除却について「指導」や「助言」を行うことが出来るようになり、除却が行われていないと認められるときは、「指示」もすることが出来るようになります。

また、正当事由なく、その「指示」に従わなかった場合は、行政はその旨を「公表」することまで出来るという、一定の強制力を持つようになります。

そのため、この認定を受けるための申請には、総会での普通決議(区分所有者および議決権の2分の1の合意)が必要となります。

敷地売却が有効なケース

敷地売却が有効なケースは以下のようなものが考えられます。


ケース1:規模や立地から建替えが難しいケース

容積率が不足し、大きな規模の建物が建てられない場合、相当な費用負担が生じ、 ディべロッパーの参加も見込めないことから、建替えは困難です。

このようなケースは敷地売却制度の適用が有効です。


ケース2:高齢化が進んでいるケース

マンションが古い場合、居住者の方々も高齢化している場合が多いです。建替えの場合、仮住まいや引越しを2回しなければならない為、高齢者にとっては、抵抗感が強いものです。

敷地売却制度を使えば、1度の引越しで、早期に新居を見つけられる為、このようなケースにも有効です。


ケース3:権利関係の調整が難しいケース

容積の余剰があり、立地性も優れているとしても、権利調整が難しく、 建替え合意にいたらないケースがあります。

たとえば営業系の借家人に立ち退きを拒まれたり、その他テナントとの解約交渉が難航するようなケースです。

建替え決議が成立したとしても、借家権の終了事由(正当事由)を満たすわけではないため、借家人との調整は時間がかかる場合があります。

敷地売却制度を使えば、借家権は原則消滅するため、このようなケースにも制度適用が有効と思われます。


建替えが困難な物件でも、敷地売却という選択肢が増えました。こちらも視野にいれて投資物件を探してみると面白いです。

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