投資コラム/建築の基本を知る
斜線制限
斜線制限

街を歩いていると、屋根が不自然に斜めに切られたような建物を見かけることがありますね。

まるで四角い建物を刀でスパッと斜めに切ったような形をしていることが多いです。

なぜそのような形の建物を作るのでしょうか。おしゃれなデザインということで採用されているのでしょうか。

それは建築基準法で、建築物の高さの制限が定められていて、斜線制限という制限を受けている建物が多いからです。

斜線制限とは、簡単にいうと、道路の向かい側や、隣の家等に日光が入るように、建物の形を斜めに切ってしまう制限です。

この制限がないと、街が建物の影だらけで暗くなってしまうので、あった方が良い制限でしょう。

斜線制限の中には、「道路斜線制限」・「隣地斜線制限」・「北側斜線制限」という3種類があります。

道路斜線制限

道路斜線制限とは、道路向かいの土地の境界線から斜め上に線が引かれるようなイメージで、その線の中は建物を建てられるというようなものです。

その斜め上に延びる線の角度は、用途地域が「住居系」か「非住居系」かによって変わります。

  • 住居系:1.25(角度でいうと約51度)
  • 非住居系:1.5(角度でいうと約56度)
<住居系の用途地域の場合>

「1.25」とか「1.5」とかわかりにくいですが、前面道路の幅員に、その数値をかけると、立ち上がりの高さの限度がわかります。

たとえば、道路幅員が4mで、住居系の場合は、4×1.25=5m

つまり、立ち上がりが5mの建物が建てられるということです。

隣地斜線制限

隣地斜線制限というのは、「隣地に日が入るようにするための建築制限」のことです。

建築した建物によって、隣地が日陰にならないように、道路斜線制限と同じように「斜め」の制限がかかるのです。

こちらも用途地域が「住居系」か「非住居系」かで制限の内容がかわり、「住居系」の方が厳しいものとなります。

<住居系地域>

住居系の場合、隣地境界線において、20mの高さから、道路斜線制限と同じ「1:1.25(角度でいうと約51度)」の角度で制限がかかります。

なお、「低層住居専用地域」においては、「絶対高さ制限」というものがあり、「10m」か「12m」までしか建築が出来ないため(20mの高さまで到達しないため)この制限はかかりません。

<その他の地域>

非住居系の場合は、隣地境界線上の高さが31mで、そこから、「1:2.5(角度でいうと約68度)」の角度で制限がかかります。

北側斜線制限

北側斜線制限というのは、「北側に日が入るようにするための建築制限」のことです。

太陽は南を通りますので、高い建物を建てると、北側に影を落とすことになります。

南側に高い建築物が建つと、北側の住民は日が当たらなくなってしまうので、そのようなことがないように建築制限が設けられているのです。

この制限は「(第一種or第二種)低層住居専用地域」と「(第一種or第二種)中高層住居専用地域」においてかかってくるものです。

斜線の角度は、道路斜線制限や、住居系の隣地斜線制限と同じで、「1:1.25(角度でいうと約51度)」です。

立ち上がりの高さが、隣地斜線制限のときは20mだったのに対し、以下のように厳しくなります。

  • 低層住居専用地域・・・5m
  • 中高層住居専用地域・・・10m

北側の隣地が道路の場合は、立ち上がりの場所が、対面側の道路境界線上からとなるため、北側斜線制限の影響をうけることはほとんどなくなります。(その代わり、道路斜線制限の影響はうけますが、北側隣地に土地があるよりは、制限がゆるくなります)

それぞれ、例外もありますが、このような制限があるということだけは覚えておきましょう。

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