投資コラム/建替えの手法を知る
マンション建替え円滑化法
マンション建替え円滑化法

建替えに必要なあたま数と議決権が集まり、建替え決議が成立したら、「これで一件落着」と思いがちですが、建替え決議後もやるべき事は多くあります。

今回は、そのような建替え決議後の手続きをスムーズにするために誕生した法律、「マンション建替え円滑化法」について、簡単に説明させていただきます。

マンション建替え円滑化法制定の背景

以前は、区分所有法による建替え決議が成立しても、その後、建替え事業を進めていくことは非常に困難でした。

なぜなら、区分所有法には、建替え決議までのルールは定められていますが、その後のルールが定められていないからです。

たとえるなら、海外旅行のガイドブックで、日本から海外までの行き方は詳しく書いてあるのに、海外到着後のガイドがまったく書かれていないようなものです。

この問題点は、平成7年の「阪神・淡路大震災」の後の建替えの際にクローズアップされ、法制定が要望されるようになりました。

そこで平成14年6月に施行された法律が、マンション建替え円滑化法です。

※そのときの正式名称は「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」で、平成26年に「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」に変更されています。

このマンション建替え円滑化法のポイントは以下のようなものが挙げられます。

法人格を持ったマンション建替組合

法人格をもった建替組合を設立することが可能になり、組合主体で各種工事の契約や、必要な資金の借入れ等を行えるようになりました。

運営ルールの明確化

建替組合の運営・意思決定のルールが法律により明確化されることになりました。

スムーズな権利移行

それまでは、各区分所有者とディベロッパーとの等価交換契約にもとづき進められることが多く、区分所有者の権利を、一時的に、ディベロッパーに移行する必要があり、権利の保全が十分ではありませんでした。

また、事業期間中の一時的な抵当権抹消についても、抵当権者の合意が取りづらいことも問題でした。

マンション建替え円滑化法が整備されたことで、区分所有者の建替え前の権利を、再建マンションの区分所有権に、「権利変換」が出来るようになり、権利が保全されるようになりました。

また、抵当権についても、抹消することなく、そのまま再建マンションに移行することが出来るようになり、抵当権者の同意も得やすくなりました。

このように、マンション建替え円滑化法が制定されたことで、文字通り、マンション建替えを円滑に進めることが出来るようになりました。

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