築年数の古いマンションを建替えてゆくことは、国の課題であるといえますが、震災等の被害を考えますと、耐震性の低いマンションから建替えてゆきたいものですね。
そのため、耐震性が不足すると認定されたマンションは、容積率等の緩和を受けられるという新たな制度が誕生しました。
それを「マンション建替型総合設計」といいます。
マンション建替型総合設計とは、平成26年のマンション建替え円滑化法(※)の改正により新たに誕生した制度です。
(※)マンションの建替え等の円滑化に関する法律
耐震性が不足し、除却が必要と認定されたマンション(要除却認定マンション)については、容積率等の緩和が受けられるという内容のものです。
これまでの総合設計制度は、「建築基準法第59条の2」がベースとなっていましたが、このマンション建替型総合設計は、「マンション建替え円滑化法第105条第1項」がベースとなっています。
こちらも、この条文の内容だけでは、詳細がわからないため、国(国土交通省)が通達を出し、それをベースに、各自治体が具体的な許可基準を設けています。
東京都においては、他の総合設計と同様に、延床面積10,000㎡超の場合は、東京都が許可をし、10,000㎡以下の場合は、各自治体(港区、渋谷区等)が許可を出します。
従来の総合設計(共同住宅建替誘導型)との違いをまとめましたので、ご参照ください。
なお、こちらの内容は、東京都の許可要項のものですので、各自治体の内容とは異なりますので、ご注意ください。
従来の総合設計 (東京都・共同住宅建替誘導型) |
マンション建替型総合設計 (東京都) |
緩和内容 | |
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適用区域 | 特別区の区域 多摩地域の指定容積率400%以上の区域 ※原則として、工業地域・工業専用地域を除く |
市街化区域内 | 都内全域に拡大 |
敷地面積の 最低限度 |
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商業系地域において、最低面積300㎡に緩和 |
公開空地の 最低限度 |
容積率に応じて、10%~30% | 一律10% | 最低限度を緩和 |
歩道上空地 | 幅員2m以上のものが必要 | 幅員1.8m以上のものが必要 | 幅員が緩和 |
広場状空地 | 設置が必須 | 設置は任意 | 設置義務の緩和 |
隣接地の 取り込み |
不可 | 可能 | 隣接地を取り込んだ建替えも可能に |
割増容積率の 上限 |
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同じ |
割増容積率の上限は同じですが、さまざまな面において緩和が見られますね。
以上、簡単ではありますが、マンション建替型総合設計の内容を説明させて頂きました。
耐震診断を受け、要除却認定を受ける必要がありますが、使用できる場合は、大幅に緩和を受けられます。
検討中のマンションがこの制度を使えないかどうか、要件を確認してみてください。